橿原市にお手伝いにいきました

 といっても、行ったのはレストラン「くあとろ」。くあとろは、近鉄八木駅前すぐにある「U遊Uビル」の5階にあります。

 さてさて、そちらの「くあとろ」さんが、橿原市でのテュニジア民族芸能の団体のお弁当を作ることになりました。なぜか。実はここでは、オープンから、テュニジアチームがキャンプに来ることをヒントに、テュニジア料理を提供しているからです。それで県から依頼されたのだとか。

 そこで、お弁当の案を、シェフと考えることになりました。「テュニジアものを作るのか、日本のものを作るのか」。とにかく初日は近場に持っていけばよいので、温かいものを出せそうだ。シェフが作ったテュニジア料理を、試すことにしました。

 1日目のメニュー:ハリーサ、オリーブ、エビのオジャ、焼きそば、ブリック、フライドポテト、羊の串焼き、フランスパン、魚のショルバ、サラダ・テュニジアン。

 本当は、中華春巻と生春巻を入れようと思っていたのですが、中華春巻は豚がほしかったので、宗教上の理由からやめて、生春巻は当日の天候がかなり良かったので、生のものをやめました。
 焼きそばは、はじめ、ふつうの焼きそばソースに鷹の爪をまぜるくらいを考えていたのですが、ハリーサを少し入れてしまいました。

 くあとろ特製弁当。

 フライドポテトにも、香辛料と塩胡椒をふりました。オジャは、先日留学生がシェフに教え込んだ味の自信作。シェフの作ったハリーサは、まだ寝かしが足りないので、缶詰を使いました。ショルバは、オジャに使ったエビのガラをだしに使い、よい味になりました。

 私は「ようこそ橿原へ!」とパンのケースに書き、弁当箱のふたには「HALAL」(イスラム教とが食べてもよい、ということを示す)とアラビア語で書きました。

 早めに会場に持っていきました。何人かの人がタブラ(太鼓)を演奏していて、裏方が車の所にいたので、話しかけてみて〜と言われて、少し話をしました。
「ようこそ〜」
 久々なのでどきどきです。でも、単なる会話であって、通訳じゃないので、気が楽です。なんでアラビア語を話すんだ?と言われ、テュニジアにいたんだよ〜と説明しました。それから、「今日は私たちが料理したからね」と言うと、彼らがにんまり笑って
「クスクスを作ったのか?」
「いや、クスクスは作ってないけど、オジャとか、ショルバとか〜」
「ブリックは?」
「ブリックはあるよ。でも、卵一個は大きいから入ってないよ」
「そうか、そうか〜」
 彼らがにこやかに話していたのを、シェフに伝えると「クスクス、やっぱり持ってきた方がいいかな?」という話になり、急遽、シェフが取りに行くことに・・・

GUGU。

 彼らの出番が終わると、お弁当の時間です。でも、シェフがまだ戻ってこない。仕方ないので、そのまま配り始めることに。

 感想をきいていくと、「おいしいよ」ということでしたが、やはり好き嫌いがある様子。記者の人たちが「焼きそばはどうなのかな?」というので、促して食べてもらいました。
「これは、焼きそばっていうんだよ。どう?」
「うん、おいしいね。マカローナ(パスタ)かい?」
「そう、日本のマカローナだよ。でも実は、ちょっとだけ、ハリーサが入ってる(笑)」
 そう言ったら、そばにいたテュニジア大使館の人(っていうか、知り合いだ)が笑って日本語で、
「やっぱりね〜。そうだと思った」
 日本の焼きそばにしては辛すぎる!

 一人は、わざわざ机を出しているにもかかわらず、芝生の上にお弁当を持っていって、べたんと座って、ホントに気持ちよさそうに食べていました。

 橿原でのテュニジア料理の歓待、これは受け入れられてるんでしょうか?
「大分では一体何を食べたの?」と質問してみました。
「おおいた? あぁ、佐伯では、日本食を食べた」
「ぜーんぶ日本食だったの?」
「そう」
「どんなの?」
「ほら、このくらいの米に、魚がのってる・・」
「ああ、お寿司! 卵ものってた?」
「うん、卵もあった。でも、魚の種類がいっぱいあったよ」
 大分では日本食ばっかりだったんだ! 生の刺身ののった寿司を食べれたんだねー。
「おいしかった? どうだった?」
「よかったよ」
 聞いてみたら、佐伯の売りは、新鮮なお魚が食べられる!ということだったらしく、刺身とかはよく出たみたいでした。

 みんなに好評だったのはショルバ、そしてオジャ(具を残した人はいましたが)、それからブリックとフライドポテト。でも、ブリックは「テュニジアではこんな包み方はしないぞ」と指摘されました。半分に切って、それを真ん中に折りこんだのです。「あー、ごめんね〜」。だって、全部入れたら大きいんだもん(ーー;
 焼きそばとお肉は好き嫌いが出たのか、さめかけていたのがダメだったのか。一人に訊いてみました。
「ねぇ、羊はどうだった? おいしかった?」
「もちろんだよ。ハリーサをつけてこうやってね」
「でも、彼も彼も彼も、みんな食べてないよ」
と言ったら、既に芝生でくつろいでいた仲間を振り返り
「おい、なんで食べないんだ。ほら、ちゃんとHALALって書いてあるじゃないか」
「あー、もういいよ。お前が食べろ」
 彼は、みんなの分の羊もたいらげてくれました。それから
「ね、これ食べてみた?」
と、シシトウを指さす私。
「いや・・」
 やっぱり、何か分からないから食べなかったみたい・・・(--;
「これね、日本のフィルフィルなんだよ」
「からいのか?」
「うん、ちょっとね」
 彼は興味を覚えてそれを口にし、
「どう?」って訊いたら
「うーん、まぁまぁだな」
と言いました。
「そっかぁ、やっぱり辛い辛いフィルフィルがいいんだね」
「そうだなぁ、これはあんまり辛くないよ」
 とても親切な彼でした。

 さて、クスクスについては、出てきたのが遅かったので「おいしいおいしい」と食べてくれた人もいれば「もうお腹いっぱい〜」という人も。でも、ちょっとにんじんが固かった人がいたみたい。ありゃりゃ、おじいちゃま、失礼いたしました。

 翌日のメニューはサンドイッチだよ、と大使館の友達に話しました。こういうの入れても大丈夫かなぁ?って。
「それはテュニジアのサンドイッチ?」
「そう、もちろん。トン(ツナ)と、サラダ・テュニジアンと、ハリーサと・・・それからタジン!」
「わぁ、すごーい!」
「タジンは、すごくおいしいよ。私の保証付き!」
 あとで、彼女に聞いたら、南部の人たちはマヨネーズをあまり食べないというので、鶏の辛子マヨネーズ和えはやめることにしました。

 さてさて、翌日、彼らはサンドイッチをおいしく食べてくれたのでしょうか?
 シェフは、奈良の名産!といって、くず餅をデザートに入れてみよう、と言っていたので、すごくすごく気になります。バナナとオレンジも入れようと言ってました。南部の人たちにとって、バナナは珍しいものだと思われます。さてさて、どうだったのかな??

 

テレビ取材は朝日放送&NHK、新聞は読売&毎日、その他も来ていたようです。