チュニジアテュニジアはアラビア語を母語とし、公用語にフランス語を採用しています。 チュニジアテュニジアの母語はアラビア語のチュニジアテュニジア方言で、大学などで習うような標準語(古典語・公用語・正則アラビア語・フスハという)とは 文法・語彙などにおいて異なります。
首都テュニスと各地方でも異なります。これは日本でも同じですよね。
で、ここで何をするかというと、ちょっとチュニジアテュニジア語をかじってみましょう! それも、首都テュニスの方言です。
堅苦しいことを言うつもりはないんですが、ここでの表記についてお断りしておきます。基本的にはカタカナで表記し、区別の必要のあるところだけ、明記するようにします。あと、私が曖昧で分からないところは明記しません(ごめんなさい・・・)。
アラビア語の3つの「h」:
x :フランス語の「r」の音を無声音化する。口蓋垂を震わせる音。
h :日本語の「は」の音に近い。
H :喉の奥、咽頭から出す摩擦音。寒いときに「はーっ」と絞り出す音。
その他:
9 :「アイン」という。「H」の有声音になる。初心者に出すのは難しい音で、私も説明できない・・・。喉に詰まった何かを吐き出したいときに出る音・・・かな。
G :「ガイン」という。専門的に言うと、軟口蓋摩擦音。gを摩擦させた音。説明できないので、gに似た音と思ってくれれば。
? :「ハムザ」という。日本語では「コップ」や「楽器」の促音として現れる。ただし、テュニ語ではほとんど使われない。
S :アラビア語独特の音ではないけれど、「sh」をこう書くことにする。
q :「q」は「k」より喉の奥で発音する。テュニ語では「qa」を発音しても「コ」に近く聞こえるほど。反面「ka」は「キャ」に近く聞こえる。日本語のカ行音は、「q」と「k」の間にあると思ってもいい。
ほんとは他にもあるけど、区別してるとややこしいし、大体私もいつも区別を気にしているわけではないので(なんとか通じるから)、省きます(こんないいかげんでいいのでしょうか・・?)。
なんといっても基本は挨拶、これができなきゃ始まりません!
おはよう:サバーヘール(sabaaxeer)
フスハーでは「サバーハ・ル・ヘール」だが、チュニジアテュニジアではどう聞いても「サバーヘール」。
こんにちは:アスラマもしくはアッサラーマ(9assalaama)
元の意味は「お気をつけて出かけて下さい」という感じだけど、「こんちは!」程度に使える。
こんにちは:アッサラーム・アライクム。母音が変化してアッサラーム・アレーコム。 フスハーの語彙なので、他人行儀に聞こえる。真面目に言うときなど。返答は「アレーコム・ッサラーム」とフスハ式に言う。仏語辞書には「salamalec」で「馬鹿丁寧な挨拶」と載っている。まさにその通り。
さようなら:ビスラマもしくはビッサラーマ(bissalaama)
これも「気を付けて」が元の意味。「サラーマ」が安全という意味なので。これも気軽に使える。
さようなら:フィーラメ(fiilame)
これはビスラマより「気を付けて」の意味が強いように思う。ビスラマが軽い「バイバイ」なのに対して、こっちは「しばらく会わないから」って意味がこもるような気もする。「今から旅行へ行くんだ」「フィーラメ」って感じだ。こういうときはビスラマよりかっこよく響く。
さようなら:イラッリカー(?ilalliqaa?)
フスハの語彙。ちょっと堅い。同じくフスハのマアッサラーマよりは頻度が高い。
ご機嫌いかが?:シュノーワ・ハワーリック?(Snoowa Hawaalikk)
簡単に「元気?」(以下参照)と訊くことが多い。
→元気:ラ・バースもしくはレ・ベースと聞こえる(la baas)
「元気?」と訊かれたら、「ラ・バース、アイシック」と応えるのが普通。絶対にお礼を言わないと駄目。また、これは「平気、大丈夫」の意味にも使う。
→まあまあ:シュワイヤ・シュワイヤもしくはハキーカ
「元気?」の返事に。よくも悪くもなく、まあまあね。
→元気じゃない:ムシュ・ラバース
「ラ・バース?」に「いいえ(レー)」と答えてはいけない。なぜかというと、ラ・バースはもともと「la ba?s(悪くないことはない)」という二重否定のフスハから来ているので、「レー」と答えると「ba?s(悪くない=良い)」になってしまうのだ。だから、ムシュ(mS)という否定(方言の語彙)を使う。(否定疑問の答え方は英語と同じ)
ありがとう:アイシック(y9aySikk)、たまにアイシャックとも
アイシックの最初のyの音は微妙だから、別に言わなくても通じる。「ありがとう」もいくつか使い分けをされる。ありがちなのが「バラカラウフィーク(barakalawfiik)」。あとは「メルシー」とフランス語を使うとか。
アイシックは「お願いします」の意味もある。
ありがとう:シュクラン(Sukran)
フスハの語彙。堅いけど使う。
おやすみ:スバラヘール(sbalaxeer)。 フスハーの「トゥスバフ・アラ・ヘール」が短くなったもの。フスハーを知らない人は、ついつい「おはよう」と間違う。夕方以降、その日もう会わない人に。
決まり文句。私が知っているのは数少ないのですけど。。。
「ニッチャッルフ」「ウビーク」:
はじめまして、こちらこそ、という最初の挨拶。 これから話を始めよう。nitSrrafになると思うが、aの音はあまり聞こえない。
「サマハニ」(samaHni):
すみません。Excuse meってやつ。人をかき分けるとき、軽く謝るとき、「ちょっと!」って注意を呼びかけるときなど。複数に対して言うときは「サマフゥニ」。エジプト方言などの「ラウ・サマハトゥ」のように「お願いします」の意味はない。
→「スメーフ」:
「サマハニ(ごめんよ、ごめんよー)」とかき分けられたときに、こっちも「ごめん」と謝ってしまう場合に使う。
→「トゥファッダル」:
「サマハニ」とかき分けられたとき、「どうぞ」と道を譲るときの応え。一般的に「お先にどうぞ」って意味で使う。
→「ラ・バース」:
「大丈夫だよ」。ぶつかった相手が「サマハニ」って謝ったら、こう言って許してあげよう。「ミセルシュ(気にすんなよ)」って付け加えてもいい。
「ビシュフェ」「イシュフィーク」:
前者は、「飲食している人(もしくは食べ終わった、食べ始める人)」に対して、給仕者(単に近所にいる人でも可)が「おいしく食べてね、それを食べて健康でね」という意味を告げるもの。フランス語で「ボナペティ」と訳されたりしている(ちょっと違うような気もするけど)。後者はそれに対して、ありがとうの気持ちを込めて「あなたもね」と返すもの。買い物をしたお店で言われることもある。
「サッハ(saHHa)」「ヨーティーキ・サッハ」:
直訳すれば「健康!」「(神が)あなたに健康を与えるように!」となるんだけど、前者が、「何か人に施した人」がいう言葉で、後者はそれに対してありがとうの気持ちを込めて言われる。
例えばハンマーム(公衆浴場)に行った風呂上がり、垢擦り担当のおばちゃんなどが「サッハ(気持ちよかったか?って感じ)」「ヨーティーキ・サッハ(うん気持ちよかった、ありがとう、あなたにも同じものを)」。例えば、お隣からお裾分けをもらって、食器を返しに行ったときなどに「サッハ(おいしかった?)」「ヨーティーキ・サッハ(うん。あなたにも同じお返しを)」って感じかな。だから、どういう場面でも使われる。
「サッハ」or「サッハ アレーク」:
同じスペルなんだけど、こっちは「乾杯!」ってやつ。
「ミセルシュ」: エジプトやシリアなどで言う「マアレイシュ」に同じ。「気にしない」「ごめん」(でも「ごめん」の意味で使われるのってあまり聞いたことがない)。例えばタクシーに乗って運転手が「お釣りがない!」「ミセルシュ(いいよ、とっといて)」、友達が「忙しくて場所を教えてあげられないけど・・」「ミセルシュ(大丈夫)、知ってるから」という感じ。
「フィーサー」:
急いで! エジプト方言みたいにフスハの「ビッスルア」を使うと、促音を言うのが疲れるけど、これは楽。急いでるときに何回も繰り返して言うとよい。カルタゴ時代のフェニキア語から来た語彙だとかいう話。
「イスマア」(isma9):
聞きなさいっていう命令形。アラブ人はとかく主張したがるので、お互いがこう言って言い合いをする。問題があるときなど、声をでかく、「聞いて!」と言って主張し続けるしかない。
「アンディ・ムシュキラ」(9andi mSkila):
しょっちゅう使うので、ここに書いておこう。何か困ったことが起きたら「問題があるんだ」と、こう言う。アンディというのが、「私は持っている」という言い方。ムシュキラの最初の音はスクーン(母音なし)で読むのがチュニジアテュニジア風。
「カッデーシュ」(qaddeeS):
「いくつ」「いくら」というやつ。「カッデーシュ・ハーディ(これいくら)?」とか、「カッデーシュ・ワクト(waqt)(何時)?」とか「カッデーシュ・ウムリック(9umrikk)(あなたの年はいくつ)?」というように。発音で「シュ」が聞こえないこともしばしば。私は既に「カッデー?」としか使わなくなっている。
「シュノーワ」(Snoowa):
「何」の男性形。名詞文で使う。あと、「シュネーヤ」(女性形)とか変形がある。「シュノーワ・ハディーカ(あれ、何)?」みたいな感じ。エジプトの「エー?」みたいに、疑問文の最後に付けることはない。名前を呼ばれて「何?」って感じにも使える。名前を訊くときにも使うけど、「エーシュ」を使うことが多い。
「エーシュ」(eeS):
「何(を)」。ふつう動詞文で使われると思う。でも「エーシュ・イスミック(ismikk)(あなたの名前は何)?」と使うから、そうとも言えないのかも。「エーシュ・タアマル(ta9mal)(あなたは何をしてるの)?」って感じ。でも「シュ・イスミック」としか聞こえないので、「エー」はごく軽く発音すること。「シュー・イスミック?」というと「違う!」と否定される。通じるけど、これはシリア方言だ。
「ワクテーシュ」(waqteeS):
「いつ」。
「ウェーン」(ween):
「どこ」。「ウェーン・トワレット(トイレどこ)?」。フェーンというのも。
「シュクーン」(Skuun):
「誰」。電話口でよく使うかな。間違い電話が多いもので。「だから誰なの!」って感じ。。。
「アレーシュ」(9leeS):
「なぜ、どうして」。怒ったときとかによく使うかな。理不尽な怒りに「なんでよ!」って感じ。勿論ふつーに「どうして?」って使うんだけど。
「ムニーン」(mniin):
「どこから」。これがエジプトとかだと「mineen」と音が替わるんだけど、チュニジアテュニジアは最初の子音をスクーン(母音なし)で発音することが多いので。「ムニーン、ビンティ(お嬢さん、どこから(来たの)?」って感じにタクシーでよく訊かれる。
「ベーヒ」「ベヒ」(beeHi):
長く伸ばすと「良い(goodとnice)」「大丈夫」の意味。短くすると、「よし!」て感じ。「先生、これ分かりません」「ベヒ(よし、分かった)、今から説明しましょう」って具合。短い方は最後の「i」の音もほとんど聞こえない。あと、嫌みな使い方もある。「あんた分かったの、ベーヒー?!(ほんとに?!)」
「シュベーキ」(Sbeeki):
「あなた、どうしたの?」。但し、長音に力を入れて嫌みったらしく言うと「シュベーキ?(何やってんの?!)」みたいなことになる。絡まれたときとか、うざったいときによく「シュベーキ(何やっちゅーねん!)」とやったような。。。
はい:アイ(ay)もしくはイー(iy)。
名前を呼ばれて返事をするときは、フスハの「ナアム」(na9m)を使うことが多い気がする。相槌で「アイ、アイ」とつい使ってしまう。
いいえ:レー(lee)
エジプト方言だと「レー」は「何故?」になるけど、それとはちょっと発音が違う。エジプト方言の「レー」は「い」と「え」の間の曖昧母音って感じだけど、こっちはフスハの「ラ(la?)」から来ているので、「あ」と「え」の曖昧母音。でも、日本語の「れ」に近く聞こえる。
これ・それ:ハーダ(男性形)・ハーディ(女性形)
あれ :ハダーカ(男性形)・ハディーカ(女性形)
このような:ハッカ(hakka)
「ダ」といっても英語の「th」の音なので「ハーザ」と書いてもいいかも。物の複数形は女性単数形になるので、もう単数形くらいしか使わない。ので、複数形は知らない・・(^^;; ハッカは、フスハでいうとハーカザー(haakadhaa)で、エジプトならケダ、シリアではヘイク。
ここ・そこ:フニ-(huni)が一般的。ラナ(lana)も使う。
あそこ :ガーディ(Gaadhi)
タクシーとかで「そこでお願い(フニ-・アイシック)」とか」とか使う。「どこに住んでるの?」の質問を誤魔化したいときとかに、よく「あっち(ガーディ)」って言うかな。
昨日:イルバーリハ(ilbaaliHa)
今日:イルヨーム(ilyoom)
明日:ゴドワ(Godwa)
「昨日」はエジプト風にイムバーリハということもあるし、それが早口になってイムが聞こえなくなり「ンバーリハ」みたいに言うこともある。この「イル」は定冠詞なので、聞こえなくても大抵通じる。ゴドワはしょっちゅう使う。「アラブのIBM」とかいう言葉はチュニジアテュニジアには通用しない( I は「アッラーが望めば」インシャーアッラーで、Bは「明日」ブクラ、Mは「気にするな」マアレイシュ)。IGMになってしまうので(笑)
今 :タウワ(tauwa)
朝、午前中:スベーフ(SbeeH)
午後 :バアダ・ズフル(ba9dha dhhr)
夕方 :マサー(masaa)
夜 :レーラ(leela)
いつも :ディーマ(diima)
あとで:バディーカ
ちょっと待って:ラハザ(laHdha)
ちょっと待って:ダキーカ(daqiiqa)
ラハザは、英語のmomentに当たる言葉で「秒」の意味。ダキーカはminute「分」の意味。
同じ :キフキフ(kifkif)
〜と同じ(前置詞):キーフ
伸ばすときは「キフキーフ」という。両手の人差し指をこすりあわせるジェスチャー(同じ、友達、一緒に)は、アラブ共通の模様。
〜のように、〜のような:キーマ(kiima)+文
〜のような、〜のように:キ(ki)+名詞
「キーマ・トゥヘッブ(tHebb)」 あなたの望むように、お好きにどうぞ
「キ・ル・アーダ(ki−l9aada)」 いつもと同じ、いつもどおり
カフェなんかで「おっちゃん、いつものやつね!(キ・ル・アーダ)」って言ってみたい。すっごくかっこいーと思う。
右に :アリ・イミーン(9ali 9imiin)
左に :アリ・イサール(9ali 9isaal)orアラ・シャマール(9ala Samaal)
まっすぐ:トゥール(Tuur)
ほとんどフスハそのまま。「まっすぐ」はフスハやエジプト方言では「アラ・トゥール」。シリアじゃ「ディグリー」とか言うんだよね。チュニジアテュニジア人が言うときは大抵2回くらい繰り返して「トゥール、トゥール」と言う。もしくは「ディーレクト」とか「トゥー・ドロワ」なんて仏語を使う。この辺はモロッコも同じ。
〜と〜の間に:マビーン・〜ウィ〜 (mabiin wi)
〜の隣に(で):アラ・ル・ジャンブ〜(9ala−ljanb)
ウィは「と」という接続詞。あんまり聞かないけど、基本だし。
場所を表す前置詞と副詞
前置詞 副詞 の上、上方 フォーク(fooq) の下、下方 タフトゥ(taHt) ロータ(looTa) の前、前方 クッダーム(quddaam) の後ろ、後方 ウラー(wlaa) イルテーリー(ilteelii)
*副詞は、「彼女、どこへ行ったの?」「下よ、下(ロータ)!」とか「前に真っ直ぐすすみなさい(イムシー・クッダーム、トゥール・トゥール)」って感じに使われる。「イルテーリー」は「ラテーリー」っていうことも。
主格の人称代名詞
私 アナ 私たち ニフナ- あなた インティ あなたたち イントゥーマ- 彼 フゥワ
彼女 ヒィヤ彼ら フゥマ-
*人称において、双数型は存在しない。2人称男女の別はなく、最初の「イ」の音は「あ」と「い」の曖昧母音という感じ。複数形の語尾は、気持ち程度に長母音で。
英語で言うbe動詞現在形の文章は、主語+補語だけでいいので簡単。否定するときは、主語+ムシュ+補語で。
アナ ヤバニー(ジャポネ)
私は日本人(男)ですアナ ムシュ ヤバニーヤ(ジャポネーズ)
私は日本人(女)ではありません
疑問文にしたいときは、語尾を上げるだけ。選択疑問文にしたいときはアウを使う。
インティ ジャポネ アウ シノワ ?
あんた、日本人? それとも中国人?
これに関する決まり文句を一つ。
サヒーフ アウ ラー(レー)?(saHiiH au la)
そうだろ? そうじゃないのか?
*サヒーフは「正しい」。レー(いいえ、否定の形)は、「ラ」という短い音に聞こえる。フスハで言うところの「ア・ライサ・カザーリカ(?a laisa kadhaalika)」そうじゃないの?。