パリ・チューリヒ旅行の記録
〜高いところがお好きなら〜
二日目にしてオモシロイと思っている自分に気づいた。都会の旅行の楽しみ方は、まず交通機関を征することに始まる。途上国だと、分からなくなって「いーやタクシー使っちゃえー」と思ったとしても、日本円にしたらたかがしれてるから問題ない。気楽に使える。けど、こういうパリみたいな都会だと、バスやメトロといった安価な交通機関を使いこなせないことには始まらない。「分からない」では済ませられないのだ。
最初は全然分からなくてキレそうになるけど、人に訊いたり色々自分で試したり迷ったりして覚えていく。ゲーム感覚で向かい合うと、それが、とてもオモシロイ。今朝食事を済ませて(台所のおばちゃんはえらそうで無愛想だった)、そこにクレジットカード電話があるのを発見した。おっゥ テレホンカードを買うのは面倒だし、クレジットカードが使えるところを昨日探したんだけど見つからなかったのだ。
これで電話が出来る〜♪ 相手は、テュニジアで同じ学生をしていた人で、今はパリでホームステイをしているのだ。パリへ着いたら電話するって前もって葉書を送っておいたのだ。
で、どきどきしながら電話する。
「アロー、マダム***のお宅ですか」
「そうよ」
「ムッシュー****と話したいんですが」
「アロー、聞こえないわ!」
「アロー? ****と話がしたいの! ***よ!」
私は怒鳴った。そういうのを3回くらい繰り返したところでようやく聞こえたようで、彼女は「探してくるわねー」と言って電話口を離れた。ほぅ、なんとか通じた。しかも、向こうが言ってることが分かる。すごい。最初、その彼に私の下手なフランス語を聞かれるのがイヤだなあ、なんて思っていたことはどうでもよくなった。嬉しい気持ちが先に立っちゃって。
それで、結局14時に、オペラ・バスティーユなるところで待ち合わせをすることになった。電話が終わると、目的地を決めないと駄目だ。14時にバスティーユということは、それまでに戻って来れるところでないと駄目だ。
私は地図と睨めっこをして、エッフェル塔へ行くことにした。お馴染みのメトロの駅へ行く。それで、冒頭に書いたように、私は交通機関を使いこなすべく、今日はcarnetなる10枚綴りの回数券を買ってみた。日本みたいに1回分だけおトクなんて、けちくさくない。3回分くらいは優にお得だ。1枚8FFのところ、10枚で55FFだったかな。これは、バスでもメトロでも共通で、全区間一律同値段。日本もこうしてくれないかな。高くてかなわんわ。
メトロを降り駅から出ると、自分がどこにいるのかさっぱり分からない。バスティーユ辺りで見たのと同じような建物が、でーんとそびえ立っているのが見えるだけ。エッフェル塔なんて目立つから、駅を降りたらすぐに分かると思っていたのだ。・・・甘かった。
と、そこへ小学生らしき集団を見つけた。引率者の先生が先頭に立って、ぞろぞろとお子さまたちを引き連れている。おおっ、やはり、私ってなんて運がいいんでしょ。きっとあれはエッフェル塔へ行く集団に違いない(決めつけ)。あの後についていけば、辿り着けるわ♪
るんるん♪ 私はあっさりとそう決め、彼らの後に付いていった。天気は曇り空で、あまりキレイと言えるものではなく、ポツポツ雨が降っていたように思う。彼らはひたすらにまっすぐ坂を下っていったのだが、左手に何やら大きい公園のようなものが目に入った。ちょっと寄り道をする気になったのである。エッフェル塔らしき方角は分かったので、寄り道くらいは旅の楽しみとして行わねばなるまい。
うん、私はそう思って、建物の隣にでーんと停められたバンの横をすり抜けて、奥へと向かった。そこは、大きなバンが一台停めてあって、どこかの事務所の裏口、みたいな感じのところだった。向かって右手にベージュ色の建物の壁があり、左手には垣根。そして真ん中にバン。その隙間を越えて向こうへ行けば、垣根の向こうに見えている大きな公園に行けるような気がした。もちろん、見えた公園がその場所からたどりつけるという確信はなかったし、普通公共の場であるなら、もう少しおおっぴらな入り口があって然るべきだと思うし、なんだか事務所の裏手のような雰囲気を漂わせていてはいけないと思ったし、更には私の行く手からいかにも引き返してきたらしい観光客がやって来たから、「よーし行くぞ」と張り切って行くのは、ちょっと考えたら変だったかもしれない。
けど、けれどもそこは私、malkaさん。直感で動くのは相変わらず。こっち!と思えば突進する。
その「事務所の裏口」みたいな車の横手をすり抜けて、歩くことしばしば。何やらでかい建物の壁が続くと思いきや・・・。いきなり広い空間に飛び出した。ふわ・・・・っ
まさにそんな感じだ。自分が放り出されたような感じだった。
右手には、それこそ宮殿か政府の重要機関のありそうな建物。その前に居座る、青銅の像。そして左手には、目指すエッフェル塔がそびえていたのだった。それも、真っ正面! 「2000AN」(2000年)の文字が電子蛍光板に描かれ、眩しく光っていた。あいにくの天気だというのに、それをモノともしない目立ちよう! す、すばらしいっ。
感動のままに一枚写真に収める。私の出てきたテラス(踊り場のようだったんだけど?)には、既に人が何人かいて、雨のぽつぽつ降る中、写真を撮っていた。ついでだからその辺で撮っていた人たちに「あれをバックにー」と頼む。英語で頼んだんだか、フランス語で頼んだんだか・・・。いやはや、とにかく、「寄り道万歳!」。大抵、私はこうやって、裏道から入ってきてしまうのだった。なーんでかなぁ・・・。普通目立つところに正面入り口があるはず・・・なんだけど。
後でガイドブックで確かめたところによると、そこはシャイヨー宮というところで、シネマやら美術館がいっぱい入ってる、けど宮殿、っていう、よく分からない建物だった。宮殿を開放してるっていうの、フランスじゃ結構当たり前なのかもね。皇居とかにシネマとかがあって、人がいっぱい出入りしるのは想像できないけど。
とにかく、寄り道のせいで私は、ポイントを押さえることに成功した。うんうん、よかったね♪
さぁて、雨がポツポツ来てますよ、急いでエッフェル塔へ行きましょうか。で、小降りの雨の中、エッフェル塔まで橋を渡る。セーヌはここも流れている。
さてさて、橋を渡ってエッフェル塔の真下へ来たれば、はいはい、たくさん人がいましたいました。エッフェル塔土産を両手にいっぱいぶら下げて、売り歩く人々。そして並ぶ人々。売り子は大抵黒人さんだ。
あの金色のエッフェル塔・・・ってさ、きっと東京タワーとかでも似たようなのを売ってるんだよねーぇ。通天閣も売ってたもんな。あれも東京タワーも、元祖はここ、エッフェル塔だからな。遠目で見たら、同じにしか見えん! 誰が買うねん!(いや、買う人はいるだろうけどね・・)それで、切符売り場に到着。お値段拝見。どれどれ・・・。・・・。・・・。
げっ。
なんつーお値段。1階まで、2階まで、3階まで、とお値段が異なり、一番高い3階へは・・・なーんと62FF。およそ1100円。いきなり大出費である。ふにゃふにゃ。けど、こんなところ、二回来るとは限らない。話のネタ、上らないで去るのもなんかさみしい。中途半端に上るのも、何かヤだ。・・・仕方ない。買うか。はーぁ。
うん、けど、通天閣なんて、高さは本家に全く及ばないくせに、てっぺんまで行くと、学生料金でも500円、大人で確か800円取られたし、それに比べればマシか・・・。けど、テュニジアから出てきた私には、やはり高いッ。エッフェル塔のチケットは、ラメ入りでなんかキレイだった。と書いておこう。これを土産にするさ。ううっ
エッフェル塔のエレベーターは、さすがに観光地だけあって、6畳くらいは優にあった。そこにある程度人が埋まると、エレベーターガールがいて、スイスイとエレベーターは上っていく。ああ、通天閣とはえらい違い・・・。
実は、大阪はミナミを象徴する建造物である通天閣、あれのエレベーターはえらく遅い。そこのおばちゃんが「日本でも3本の指に入るんとちゃうか?」と言うくらいに遅い。その遅いエレベーターが上昇する間に、お姉さんの声が案内するテープが流れる。そして、ゆっくりゆっくり上がっていく。トロイのに閉口しても、上っている間はしみじみできて、結構いいものなのだ。
しかし、エッフェル塔のエレベーターは、速かった。あーれーーーっ、という間に、すいすいすいと上昇していき、「1階でーす」とか言うのだ。「ここでお乗り換えして下さいー」と。感傷に浸る暇もあらばこそ、というわけだ。
そりゃさ、エレベーターが速いのはいいことだよ。客の回転がよくなるしね。けど、せめて、もうちっと、スピード緩めてくれんかね。通天閣と比較するのが間違ってるとは思うけど、少しくらい、せめて1階へ上る間だけくらい、だんだんと上昇していく景色を堪能させてほしい。1階、2階、3階と、止まった景色しか見られないのだったら、高さの違うビルの屋上から見下ろすのと何ら変わらないんだもん。さみしーじゃないか。
まあ、そんなことをぶつくさ思いながら、ともかく、乗り換えのために1階へ降りた。「1階」というのは、日本で言う2階のことだ。
そこで次のエレベーターにぼーっと並んでいると・・・
突然後ろから飛び込んできた、聞き慣れた音のつながり・・・。こっこれはっ。
思わず振り向いて、私は言ってしまった。
「いきなり日本語聞こえてきたんで、びっくりしちゃいましたよー」
これが、本日の同伴者(保護者?)との出会いである。。。。誰かさんが、テュニジアで、
「あなたはどこに行っても保護者を見つけるのがうまいよね」
と宣ったが、そういうのを後でふっと、思い出してしまった。いーじゃないか、どんな特技があったって・・・^^お二人はなんでも、お子さんたちを父母に預けて旅行に来たのだとか。いいなあと羨ましくなってしまう。こんなふうに、中年層以上になってから夫婦で旅行するというのは、私の夢なのだ。見てるだけで嬉しくなってしまう。
私は、テュニジアの話をしたり、熊本出身であるお二人のお子さんの話とかを聞いて、話を弾ませた。なんでもお子さんのうちの一人が留学したいと言っているそうで、やっぱり親として心配しているらしい。けど、こういう場合、私は娘さんの味方だ。自分の親の話とかを軽く話して、経験が大事ですよ、楽しむことが大事ですよ、若いときしかできないですものね、なーんて擦り込む擦り込む(笑) でも、本音だもの。娘さん、頑張れ! 「でも、お金は掛かるしねー」と言うので、Maltaを勧めておいた。あそこは治安もいいし、ヨーロッパ本土に比べたらお値段は安いもの。
3階からの眺めを見て、お母さんと二人、はしゃいであちこち回る。2階まで降りて景色を見ると、3人で「3階より2階の方が眺めがキレイだ!」と主張してみたり。それで、なんかちょっと損した気分になってみたり。
お空はきれいに晴れている。いいことだ♪
一緒に凱旋門まで行こう、という話になって、途中、お父さんの旅行話を聞きながら、またセーヌを渡る。橋を渡りながらお父さんが「ほら、あの辺りが、ダイアナ妃が事故にあったところだよ」と解説してくれた。「写真撮っていこうか?」っていうお母さんに「どうせ写真撮っても”ふぅん”って言われて終わる」、ちょっと拗ね気味のお父さん。うちの家族を見てるみたいだ(笑)
凱旋門に着くと、お父さんは「その前にトイレ」。地下のトイレに降りようとしたら「終わりーィ」と目の前で門を閉められちゃった。時計を見たら、12時ジャストだった。あはは、シエスタ(お昼休み)が始まるんだね。
仕方ないからそのまま凱旋門へ行くことにする。けど、凱旋門の辺りは、きれいなロンポワン。つまり、凱旋門を中心にして車がぐるっと動くから、円の中心に近づくのはとっても危険なのだ。で、どうするかというと、地下をくぐる。地下道へ行くためにまず横断歩道を渡る。途中の緩衝帯に止まって、凱旋門の写真を撮る。それから地下道を通って凱旋門まで。
凱旋門には地名らしきものがずらーっと書き連ねてあった。何語なんだか分からない。へーっと、それを見上げていると、お父さんが「ここ、ここ」と真ん中の地面を指さした。「ナポレオンが死んだとき、ここに運んできて、ここで一夜明かしたんだよ」。うん、凱旋門を作るように指示したのはナポレオンだったんだよねー、そういえば。けど、完成見ないで追放されてたんだっけ?
それから、お父さんは前方に埋め込まれている火を指さした。「これが、消えない火だよ」って。「消さないの? 消えないの? どっち?」って、つい突っ込んでしまった私に「消さない、んだろうねぇ」って、しみじみ答えてくれたお父さん、ありがとう(^^
火の向こうには碑と花束があって、それと一緒に写真を撮ってもらった。「あ。花に気を取られて火が入らなかったかも・・」「いえいえ、それもまた一興♪」「シャンゼリーゼを歩くぞ!」「おーっ」
気分はるんるん。
お父さんは「シャンゼリーゼで、カフェに入る!」と主張しているが、「シャンゼリーゼのカフェなんて、高いよー?」。しかも、凄く気をよくしていて、「カフェくらいなら奢ってあげられるから」なーんて言ってくれているのに、高いカフェには入れませんやん・・・。結局「やっぱりシャンゼリーゼのカフェは高い」という結論に落ち着き、私たちは、一本中道に出ることにした。さすがはパリ、アラブ料理の店も多い。そしてそういう店の方が「安い」。確かにお父さんとお母さんにそれを味わわせてあげたい気持ちもあったけれど、私は別に食べたくない・・・。つい昨日までそういうトコにいたから。珍しくもなんともない。しかも、そういうレベルで見ると「高い」ので。
と、いうわけで、無難なところ、サンドイッチでお昼を食べましょう!ってことになった。どれにしよーか何食べよーか。やっぱりこういうとき、悩むのは女の方。お父さんは早々と席に着いているに、お母さんと私は延々カウンターと睨めっこ。レジのお姉さんも呆れ顔。早くして!って、ちょっとキレかけのご様子・・・。
メニューが決まって、席にたどり着いてパクパク食べて。しかもデザートつき・・。お、お父様ありがとうございます・・・。大変おいしく頂きました。なんだか、やけに楽しんでしまった我々は、お約束というか、住所交換なんぞをして、それからまたシャンゼリーゼに戻ることにした。
どこへ行くのかと思いきや、なんと、ルイ・ヴィトンの本店である。私には縁のない場所であります。勿論、お父さんもお母さんも、「そんなもの買うお金があったら、旅行費にする!」と言い切る御仁ですので、やはり縁はございません。
となると、ナゼに目的地がそこなのか・・・。いざ、その本店を前にして、お父さん曰く「じゃ、私は外で時間潰してるから、15分でいい? 入る根性ないから、二人で冷やかしておいで」って、そういう感じ。
「えーーっ、お父さんも行きましょうよ!」って誘うけど、結局お母さんと二人で行くことに。
「こんなカッコで行ったら、門前払いくらいそうだねー。全然相手にされなさそう」
「じゃ、そこはにこやかにフランス語で、Bonjour!って」
きゃーっ。我々、ノリは女子高生並み。しかし、なんか違う・・・^^
しかも、開き直ってる。買いもしないのに「我々は客!」って顔して入るのだ。度胸ーっ。さて、とにかく中へ入ると、見渡せど見渡せど、店員の他は日本人ばっか! みんな座って待っている・・・。おそろしい。日本人ってカネモチ! そう思われても仕方ないやなー、こりゃ。
そして高級感漂う店の中を、我々、即席親子は闊歩する。ちょっとビクビクしてた気持ちも、どこかへ行ってしまってる?? そしてこっそり値段を覗いては「ひぇーっ」と言う。他の日本人にバレバレだってば^^ 靴とかは結構普通の値段なのに、鞄とかがやっぱりバカ高。かわいーって思うのもあるけど、そんなの買う気にならない。
お母さんと二人で、「何かお土産にしたいけど、ここで買ったら”ヴィトンで買いたかったから一番安いモノを買いました”状態になってバレバレだよねー」って話した。絶対一番安いキーホルダーしか買わないと思う・・・はてさて、それなりに見渡して満足して、カネモチたちの隙間を抜けて、店員に扉を開けてもらい、Bonjourとまた出てきた。
だぁぁぁぁーーっ、疲れたぁぁっ。
お父さんはどこーぉ?!しかし、お父さんは凄い。「次はエルメスに行こう」とか言ってる。けど、今度はお父さんが入るんだよー。私はもう行かないと待ち合わせに間に合わないからねー。
「ほんとに楽しかったです! ありがとう」とお礼を言って二人と別れ、私は待ち合わせのバスティーユへ急ぐのだった。メトロに乗ってバスティーユ・オペラまで直行すると、ほぼジャスト2時だった。目的の人は、テュニスでも見慣れた格好をしていたので、すぐに見つかった。なんか懐かしくて凄く嬉しかった。
「お久しぶりです」
さよなら言ったときと同じ、ちょっと無愛想が、少し悲しかった。久々にいっぱい話をしながら、そして少し案内してもらいながら、延々歩いた。10分だか40分くらいは歩いたと思う。「フランス語やるなら、ここで無料のクラスに参加するのもいいよ」と、場所を教えてもらったり。途中の橋の上で、ツタンカーメンを装った人が、像よろしく突っ立っていたので、「何?」って聞いてみたら、「たまに観光客なんかが、あれと一緒に写真を撮ってお金をあげてるよ」と教えてくれた。「何もせずにせびるより、まだいいでしょ」と。
彼も上ったことがないというので、モンパルナス・タワーへ上ることにした。まずはえらく歩いてきたから、モンパルナス前のカフェには行って一休み。ふぅ。パリでの生活の話なんかを聞いて、日本に比べて安価で何でも手に入るとか、そういう話。車があったら郊外に住めるのに、とか。
トイレへ行こうと思ってカウンターへ訊きにいったら、こっちが何も言う前に「どーぞどーぞこっちへ」と、厨房まで案内させられそうになった(^^;; 「厨房はこっちですよー」「えっ、ちがうちがう、トイレだってば!」「どうして? 見ないの?」・・・なんか、ノリが私の想像していたフランス人と違う。イタリア人のようだ。カウンターにいた人は、グラスを拭きながら笑ってこっちを見るだけで、同僚の遊びを楽しんでるようだったし。何にせよ明るい人たちだった。さて、モンパルナス・タワーへ上るぞ!と意気込んでチケット売場へやって来た我々、お値段見てびっくり! さすがにエッフェル塔の3階よりは安かったけど、それでも高い・・、48FFした。日本円にしたら、こんなもんかな。1000円しないから。でも、さすがに節約している彼は、ちょっとひるんで考える。だって、最初は「お金要んの?」だもんねぇ。「どうするの? 私は観光客だから、出しても平気だけど。やめる?」「・・・いや、行こう」
長い列に並んで、エレベーターで上がって、56階! 速かったよー。で、まずはカフェがあったんだけど、そこにあったカフェの方が、さっき入ったところより安かった。ん、なんで?
そこには、昔の写真が展示してあったりして、パリの歴史を垣間見ることが出来る。一番気に入ったのは、エッフェル塔の建築経過の写真。段々に積み上げられていく様子が、横に並べられた数枚の写真で分かる。まるで積木を見ているようで楽しい♪それから、59階屋上まで、階段を上がる。ほんっとの屋上。なーんもない。ただ、双眼鏡は置いてあったけど。あの、お金入れるやつね。
そこは、エッフェル塔と違って網がないから、すっきりキレイに360度見渡せる。まあ一部、窓拭き用の機械(リフトを制御するやつ)が邪魔してて見えないところはあったけど。それから、エッフェル塔も、エッフェル塔から見えたアンヴァリッド(ナポレオンの墓がある)も、ノートルダムも、見事に見渡せる!
「わぁ!」とりあえず第一声はこれよ。エッフェル塔にも上ってないらしい友達は「ここはいいわ」と感心していた。何しろ、パリが一望できる。パリの果ても見えるくらい。
向こうに、トリコロールのポンピドゥ・センターも見える。あっちがモンマルトルの丘だ。ねえ、あっちは何だろう、あれは何だろう。ちょっと冷たい風が吹いてたけど、それも気持ちいい。
いいねーぇ。エッフェル塔より安いし、周りにいっぱい見るものがあって、絶対エッフェル塔よりこっちの方がいいって。当のエッフェル塔も、こんなにキレイに見えるしねーぇ。まあ、チケットはエッフェル塔のがキレイだけどさ。十分に楽しんだ我々はその56階からエレベーターを降りて、すぐ近くのモンパルナ駅にて、チューリヒ行きの電車を調べた。どこから出ているか、とか。リヨン駅からTGVで6h、8000円ほど。う゛ーん。飛行機の方も検討してみようかな。時間を有効利用するために。
そこからまた延々、ポンピドゥ・センター近くまで歩いて、そこで普通にお別れした。やっぱり「別れ」が自然だ。なんでだろうかなぁ。
私はメトロに乗って(しかし私が降りた入り口から駅の改札までが異様に遠くて、延々くねくねした地下通路を歩いた)帰途につく。もうすっかり歩き疲れていて、まっすぐユースまで戻ってきた。近くの店で食料を調達しようとしたら、店のおっちゃんが、テュニ語で話してるよぉ・・・。レジで「フランス語喋るの?」って訊かれたから「うん、テュニジアで勉強してる」って言っちゃった。「え゛? 嘘だろう? オレ、テュニジア人だよ」。「知ってるよ。聞いたもん」。途中からテュニ語と古典アラビア語が混ざる。話した限りにおいて、彼は生粋のテュニジア人じゃないみたいだ。おそらく、フランスで育ってる・・・。・・けどまあ、面白かったからいいや。
今日友達が、「フランスの人口はもう増えないだろうから、何十年かしたら全人口の三人に一人はイスラム教徒(ムスリム)になるだろうね」って言っていたけど、やっぱパリにも多いわー、テュニ人。私、またパリに来ることあったら、懐かしくてテュニ語使っちゃうかも。なんか、フランス人もそういうムスリムたちを重宝してるんだって。日曜日でもムスリム経営のところは開いてるから。そりゃそーだわ。
ルームメイトが二人とも、帰ってきてすぐ寝込んでる。私もこれからシャワー使って洗濯したら寝よう。ネットカフェ探して、メールで連絡しないといけないとこがある。明日も動くなぁ。
・・・で、シャワー浴びようとシャワー・トイレルームへ行ったら、イギリスから来てる日本人の女の子がいたので、ついつい長話をしてしまった。3/26から夏時間に入るという貴重な情報を入手した。おおっ、そうか、ヨーロッパってば4/1からとか日付で決まってるんじゃなかったんだわ^^
さーて、明日はルーブルでも行こうかなぁ。
→→3/24へ