パリ・チューリヒ旅行の記録
〜凱旋門から凱旋門へ〜


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 ネットカフェの場所を聞いたら、ユース内に使えるのがあった・・・(^^;; なんでもあるやん、ここ。けど、10分10FFは高いわ。10分170円とかそれくらいやで?
 しかも、まあいいやと思って使いだしたら、私の使ってる
WebMailが両方とも開けずに(文字化けならいいけど、開けないというのは問題)新たにメールアドレスを獲得するはめになった。それで、待ち合わせをする友達にメールを送って、一安心。ほーっ

 で、今日はなーんとなくルーヴル行こかなーって気分だったので、まずメトロでコンコルド広場まで行き、広場のオベリスクを見て写真を撮る。そして、シャンゼリゼ通りも撮ってしまう。ほーら、遠くに見えているのが凱旋門♪

シャンゼリゼ通りをバックに、コンコルド広場から。

 そこから歩いてルーヴル美術館を目指す。と、40代後半から50代くらいの背の高いおじさんがやって来て、フランス語で「やあやあ」と話しかけてきた。

「どこへ行くんだい?」
「え゛?」
「ルーヴルならこっちだよ。そこを回っていくんだ」
「え゛?! そうなの?(←このへん単純)」
「一緒に回っていいかい?」
「イヤ」
「どうして?」
「一人で行きたいから」
「ルーヴルを一緒に見ようよ」
「いやっ」
「お昼をどうだ?」
「友達と約束してるもん」
「明日はどうだい」
「パリにいないから」
「そうか」
(このあともしばし、不毛な会話が続く)

 いーかげん諦めたかと思いきや、振り払っても振り払っても肩を組んでくる。テュニジアのアラブ人よりしつこい。「じゃあ」って別れのキスしようとするのをはねのけようとしたら、片方の手は胸触ろうとしてるでしょ。ぺしっ。
 こういう程度なら慣れてるから問題ない。話だけなら付き合ってやるけど(勉強になるから)、あからさまにアヤシイのはパス。
 で、結局おやじが教えてくれた道筋は、景色の面でも距離の面でもよろしくなかった。
 みなさん、気を付けましょう。・・・って、こんなん引っかかるの、私くらい?

 ルーヴル入場のため、ガラスのピラミッドの列に並んで入った。このピラミッドから地下へ下りると、そこが美術館のチケット売場および入場口になっているのだ。ところが、そのチケット売場の行列に閉口しちゃった。こりゃあ、カルト・ミュゼ(museum pass)を買った方が楽かも。それを買ってしまうと、指定期日なら指定ミュージアムなどに入り放題なのだ。これだと、列に並ばなくていいし。

 ・・ということで、私はあっさり諦めてアラブ世界研究所へ行った。なぜにと言われると困るが、ミュージアム系は、朝一でカルトを買って朝から入った方が得に決まっているので、それを外したら、ここしか行きたいところがなかったのだ。
 で、そこの付属の本屋で本を買った。付属図書館で調べ物をしようかと思ったら1:30からだったので、先に外で食事を済ませることにした。

 近所にパニーニのお店を発見したので、そこでテイクアウトした。・・・のだが。「Big Panini」の文字に唖然とした。ほえ? ここは日本じゃないぞ、と。最初は不思議に思わなかったのだ。ビッグ・パニーニ。ふつうだ。・・しかし、ここはフランスなのだ。ビッグは英語、パニーニはイタリア語。これがビッグじゃなくてグランとかいう仏語ならまだ理解できるのに。・・・それで、私は「なーんだ、フランスでもこういう言い方するのね」と、妙に納得したのだった。
 それに、そこのパニーニはおいしかったし。

 そして研究所の図書館に戻って調べ物。パソコンで検索するけど、めぼしいものは出てこない。仕方ないから自分の足で捜しに行く。言語のコーナーとか見ると、うひょー、結構みたい本がいっぱい^^ けど、残念ながらそれってばドイツ語だったのだ。英語とかフランス語とかアラビア語ならまだしも、ドイツ語とは、私がかじろうとして投げ出した言語ではないですか。くぅぅぅっ。

 そんなこんなで、本を読むのは諦めました。あっさり、ええ、きっぱり。附属の本屋もちらほら見たけど、もうこの際今日はもういい!

 で、行き場を無くしたもので、昨日友達に教えてもらった、新凱旋門に行こうと思い立った。うん、これはなかなかいい考えだ。それでメトロに乗ったのはいいけれど、降りる駅をひとつ間違えたので、ひたすら歩く羽目になった。ああ、目的地はとおひ・・・

 新凱旋門のある La défense 地区一帯はすごく静かで、なんだか別世界のようだった。人通りがないとかじゃんくて、建物自体が静かなの。音が全部その高い建物たちに吸い込まれそうな感じなの。降りた駅から新凱旋門までの道のりは、遊歩道みたいになっていて、建物と建物の間にある中庭みたいなものなのね。そこがもうシーンとしちゃってる。森閑っていうかんじ。そう、靴音がどこまでも響きそうな・・・私のは運動靴だから無理だけどねー^^ 

 そんな世界の中、重い足をひきずりながら門の下まで来た。遠目で見ると、白い四角が不似合いにあるだけなんだけど、近くへ来たら、ユニークなモニュメントがいろいろ転がっていて、違和感も何もない。

 エレベーターは4つ、透明なカプセルが上下を行き来している。その、まるでゲートボールのコーナーみたいな形の塊に、透明カプセルがのぼっていく。スゴク、へんだ。その凱旋門をくぐって反対側へ出ようとすると、そのエレベーター入り口のあたりを通ることになるのだけど、透明な壁が迷路のように遮っている。ホントの迷路じゃないから、ジグザグ交差して置かれたガラスの壁をすり抜けるように通ればいいのだけど、そのあたりも、なんだか「別世界」へきたような感覚になるのだ。

 そして、その透明なガラスの壁を抜けて「門をくぐる」と、いきなり墓地が目に飛び込んできた。

 この新凱旋門。門というには分厚い、ほんとはビルだ。そのたった一個のビルの向こうが墓場だった。私の後ろには、赤や黄色のモニュメントのが彩りを添えるショッピングセンターがある。それをもっと戻れば、閑静なビル街になる。でも、私の前方には、「世界の果て」っぽい景色が広がっていたのだった。カラカラと回るカラフルな風車のその音すら、寂しく聞こえた。このギャップをどう説明していいのか分からないけれど。

 ちょっとびっくりして、またガラスの壁をすり抜けて戻った。後ろを振り返ったりしなかった。ほっとして、門から降りる階段の一番上に座り込んで、遠くに小さく見える古い凱旋門を見た。長々と息をついてから「あそこまで歩いてみようかな」なーんて、思った。

 しばらく足を引きずって歩いた。さっき降りた駅をすぎて、さらにセーヌを越えても歩いた。でもまだ目的地までの半分の距離も消化していなかった。夕陽が落ちていく。涼しい風が頬を撫でていく。なのに、なぜに私は汗だくなのだ、足が重いっ。

 ということで、私は2駅分ほどは歩いたのだが、耐えきれずにバスを待ち、それも捕まらなくてメトロに乗って凱旋門へ行った。そこならcarte musée (カルト・ミュゼ)が買えると思ったのだ。ガイドブックがないとほんとに不便だ(古いのは持っていたのだが、既に持っていることすら忘れていた・・)。

 せっかく凱旋門にチケット売場の列に並んだのに、そこのお姉さんに「ここでは夜は売っていないの。メトロの駅にあるツーリストオフィスに行ってね」と言われた。で、また駅に戻ると、ツーリストオフィスも何も、窓口は一個しかなかった。しかし、よくよく見てみると、その窓に「ここで売ってまーす」っていう張り紙がしてあったのだった。な、なんたること! すんごく疲れた一瞬だった。も、もしかして他の駅でも買えたのだろうか・・・?

 目的のものを手に入れて、私はいつもの駅へいってユースへ戻り、近くの店へ中華を食べに行った。味はそこそこ、けど安い。いいことだ。そして近所のテュニジア人の店でバナナと飲み物を買って、おしまい。足がむちゃくちゃ疲れていた。けど、明日はヴェルサイユへ行こうと決めた。

 夜、アジア人が部屋に入ってきた。緊張の一瞬。お互い「Bonjour」の一言で「これは違うな」と判断する。つまり、同国人じゃないな、って見極めるのだ。で、その判断が一瞬で終わったので、そのあとは延々フランス語で話す。向こうも習い立てって感じで、すごく話しやすい。発音とアクセントのかんじが韓国人っぽい。

 彼女が出かけた後で、いつものように寝ていたアメリカ人の子が起きてきたのでフランス語で話した。私がまともに英語で返さないので、彼女も下手なフランス語で話すのだ(笑) 彼女は美大生らしくて、フランスの現代美術についての本を探しているらしいのだが「ない!」と嘆いていた。美術館に行ってもおいてないなんて信じられない!、と。ついでに私がアラビア語をやってるって話をしたら、20区にはそういう人たちがいて、民俗衣装で歩き回っている人がすごくキレイで面白いよー、と教えてくれた。暇ならいってみたらいいよ、と彼女は笑った。

 そのあと葉書を書いてからE−mailを確認しにいったけど、きてなかった。友達との待ち合わせは一体どうなるんだろう。

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