パリ・チューリヒ旅行の記録
〜ヴェルサイユとリッチな一日〜


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  朝、アメリカ人の彼女は今日出ていくし、韓国人の子も出ていく。フロントに延長を申し出たら「今日は部屋が変わるのよー」って言われた。
 部屋を移動したら日本人が一人いて、その人はイギリス留学中で、2泊3日でブランド買い付けのバイトに来たのだと教えてくれた。そんなバイトって一体・・・? 

 メトロでモンパルナスまで行った。んだけど、まーたややこしい。私のヴェルサイユ行きを阻むやつらよ。このモンパルナスの駅、広くって階層に分かれていて、さーっぱり分からない。チケット売場はどこなのー? ここの売場は、予約券・・・じゃないわ、当日券、当日券・・・。
 なんとかチケットを買ったのはいいけど、買ったとき、たしかカンズ(15)って言われた気がするのに、お釣りからすると14.5払ってる。14ってカンズじゃないよなーぁ、カトルズだよなーぁ・・。なんでだろう? ただでさえ14と15って数字、混乱するんだからやめてほしい・・・。

 モンパルナス駅から郊外線に乗る。郊外線は、ほんとにキレイ。ちょっと田舎な感じがいい。緑は多いし、落ち着く。もし住むなら、車を確保してこういうとこがいいかも。

 電車に乗っていたら、いきなりヴァイオリンを弾き出す人、お金くれって演説する人、パンフを売る人なんかが唐突にやって来る。みんな帽子や小さい器を手に通路を回り、お金を集められるだけ集めて、次の車両へ移っていく。だから、車内は飽きることがない。そういえば、南仏へ行ったときも妙な演説を聞いたもんだ。でも、いきなり「メッシュー、メダム(複数形)」ってやられると、日本的感覚で「車掌がチケット拝見にきたかな?」と思ってしまう。

 ヴェルサイユ・シャンティエ駅に着く。
 駅から宮殿までにinfoがあって、そこのパンフによると、昨日は近所で「ジャンヌ・ダルク」の映画を上映していて、今日は「もののけ姫」「Perfect Blue」(どっちも日本アニメ)なんかがあると言う。すっごいマニアック?とか思ってしまった。

 ヴェルサイユの宮殿に入るにはコースがいくつかあって、私が持っているミュージアム・パスで入れるコースは決まっている、はず・・・。けど、どこから入ったらいいのか分からない。・・・あ、パス持ってる日本人発見!
「すみません、これってここでいいんですか?」
 相手も困っていたらしく「だと思いますけど」と言いながら、彼女は並んでる列(何に並んでいるのか謎)の横をすり抜けてチケット係と思われる人にパスを見せた。私もそのまま続く。

 宮殿の中はすっごくきらびやかなんだけど、いまいちこう、感動が押し寄せない。あまりに現実離れしているからだろうか。ヴェルサイユ条約の結ばれた鏡の回廊とかは「おー、写真で見たことあるー」という感じで、ミーハー気分で写真を二枚も撮ったけど、そういうウキウキ気分の他は、やっぱり落ち着かない感じなのね。そう、どちらかというと、ディズニーランドのシンデレラ城とか、そういうところに入り込んで遊園地気分、というのに近いかな。ホントにこんな非日常な世界があったのー?!という感じだった。

鏡の間 これがその鏡の間。

ねー? きらびやかーで豪奢ーで、それしか分からない。
それに人ひとひとひと。どうせだったら、この豪奢の主を一時味わってみたいねー。

 で、各部屋を繋ぐ扉とかを見て廊下とかを歩きながら、ちょっとだけ違和感の理由が分かった。
 飾りがゴテゴテしてる。上塗りしてるのが偽物っぽく見える。それと、最大の理由は、あまりに人が多すぎるのだ。ごちゃごちゃしてて、これが落ち着かないのだね。パンダを見てるのと変わらないよ。

 そして土産物コーナーがあちこちにあり(大阪城とかにだってあるけど)、私も何か土産買おうかなと覗いて時間を潰したけど、高いし、ちょっと興ざめ気味だったから、結局やめてしまった。あちこちから聞こえてくる日本語も、こういうときは鬱陶しい限りなのだ。異国にいる気がしない……。

 さーて次はどうしようかなと思っていると、ちょうど出口付近で日本人女性の4人連れに出会った。ちょうど椅子に座ってガイドを見ているところだったので、話しかけてガイドを見せてもらった。何しろ私の持っているのは古すぎたので。
 彼女たちは熊本から来ていた。なんだか今回の旅、熊本の人とご縁があるようだ。そういえば、前回の旅の連れも熊本ではないが九州だったなぁ・・・。
 その彼女たちに誘われたので、ご一緒することにした(さっきまでキャーキャーはしゃぐ日本語に閉口していたくせに!)。中の一人とトイレに行ったのだが、そこのトイレってば2.5FFで、チケットまでくれた! なーんかちがーう!

 それで、庭に行くことにした。ヴェルサイユの豪奢な庭!
 と思って見に行ったのだが、冬の(ちょうど私が南仏にいる頃の)大風で木が倒されていたせいで、土が掘り返され修復に入っていて、全然キレイじゃなかった。

ヴェルサイユの庭。但し工事中。
 これがその、興ざめの庭。真ん中に工事用のショベルカーとかがあるの分かりますか? 奥の方はとーっても綺麗なのに、残念!

 そういえば、一昨日会った友人が「パリ中で倒れた街路樹は、警察が切って薪(まき)にして放置しておいたから、パリの人がこぞって車で取りに来た」と言っていたっけ。それを聞いて有効利用だ、すごい!と思った記憶がある。そして、せっせと木を斧で割っていく警察の皆さんを想像して、一人で笑ったのだった・・・^^
 まあ、そんなわけだから、別料金を払って庭を見る気も失せ(これこそ興ざめというもの!)、写真だけあちこちで撮って(その修復部分が入らないように)戻ってきちゃった。

 その4人の彼女たちとモンパルナスの駅まで戻り、その近所のレストランに入った。ちょっとイイ感じのところへ入ってみたかったのだ。だって、一人じゃこんなとこ入りにくいもん!
 ランチは42FF(700円強)、前菜主菜デザートをそれぞれ選ぶ形だったのだけど(こういう形が普通)、前菜にブリックがあったので「これテュニジア料理だよー」と紹介したら、みんなそれを食べていた。ブリックとかクスクスとかはフランスとかあちこちの国で食べられるようになっているようで、日本人の中にはそれらをフランス料理と勘違いする人もいるくらいだ。
 ワインまで付いて、ほろ酔い気分でおいしく料理を頂きながら話をしていると、「コンコルドで観覧車に乗ろう」とか「豪華な夕食を摂ろう」という計画が出た。観覧車・・・・乗りたい! 豪華なフランス料理・・・・食べたい! ということで、このあともご一緒することにした。で、2・2で分かれて行動するというので、ノートル・ダム組についていった。

 さて、二度目のノートル・ダム。メトロに乗ってたどり着くと、すーっごく並んでいて「うっわー、どうしよう?!」状態。でも横からの眺めを見ているうちに少し空いてきたので、並んで中へ入った。
 そしたら運良く、この間来たときと違って、きっちりミサをやっていて全部座席の所は進入禁止。だけどその代わり、前回は入れなかった前半分に行くことが出来たのね。だから、前は角度が悪くてきっちり見えなかったステンドグラスも見れた。奥に美術博物館があったんだけど、ノートル・ダムのタワーに並んでみようってことで、そっちに並んだ。
 並んでいるときに、後ろにかわいい女の子がいて、私の連れの人が「かわいーっ、写真撮りたいー」と言うので(この前も一度別の男の子を見て、お母さんに頼もうとしたのだけど、断られていた)、今度は私がフランス語で頼んでみた。彼女のお父さんは快く承知してくれ、ツーショットで写真を撮った。笑顔のかわいい、ちょっとアラブかどこかの血の入った顔立ちをしていた。
 そんなふうに楽しく並んでいたのに、いきなり「今日はここまでー」という声が。警備の人?があちらこちらに触れて回り、その列はあっという間に崩れてしまった。私たちはその女の子とお父さんにお別れを言ったあと、途方に暮れてしまった。

 まだ約束の7時まで2時間ある。どうしよう? 
「行けるならムーラン・ルージュに行きたい!」という声があり、モンマルトルの丘まで行くことにした。ちょっと時間苦しいけど、せっかくの機会だから行きたいとこに行くのがいい!(私には、特に行きたいところってなかった・・・)
 それでポン・ヌフ(有名な橋です)を渡り、メトロに乗ってモンマルトルへ。

 ムーラン・ルージュってなんだ?と思っていたら、どこかで見たような赤い風車のある建物。中で女の人が踊っているらしい(^^ なんとかいう絵描きがよく通って題材にしたことで有名なのだとか。そ、そういえばそういう人がいたかも(こういうところ、無知な私・・・)。しかも、そんな絵、見たことあるかも^^
 とにかくそこで写真を撮ったあと、ついでだからって言うので、モンマルトルの丘を見て回ることになり、sacré-coeur というバジリカを目指した。そこに至るまでの道には、いっぱいいろんなお店があり、肉屋・チーズ屋・花屋なんかが色とりどりの店先を演出し、町並み自体がかわいくて面白かった。「長崎みたい」と表現したくなるくらい、そんな坂道ばかり。途中、ダリの博物館の近くを通ったけど、どうせこの時間は閉まっているので諦める・・・。

チーズ屋さん♪ はいチーズ!
 これはチーズ屋さん。お肉も売ってるみたい。とってもかわいかったのー^^ チーズが食べたくなったな。

 教会に近づくと、白塗りの人間や緑一色の人間が、像を装って立っている。やっぱし気持ち悪い。私が通ったときは疲れていたようで、休憩するためにのそっと動き出したところだった。そんなだから余計こわいんだってば!
 そこの教会の外観を見て、それからそこからパリの町を見下ろした。眺めは最高! ポンピドゥ・センターのトリコロール色が、淡いグレーの空ににじんで見える。エッフェル塔もモンパルナス・タワーだって見える。んー、いい感じ。

 ・・・けど、それどころじゃなかった。うわわ、もう7時だ!

 私たちは走る走る走る。雨が降ってきたけど走る。最寄り駅はどこー? 途中で「写真撮って下さい」とか言われて断れなくて付き合ったり、道を訊くけど曖昧で分からなかったりして、バタバタしながら、なんとかメトロに乗り込んだ。
 待ち合わせ場所のオペラ座(現在外観修復中)には、20分遅れで着いた。
「ごめんなさーい」「待ち合わせをここにしといてよかったねー」

 そこからすぐ近くにある Le Grand Café という結構有名らしいレストランへ入った。こんな大きな豪華なところは初めてで、私はドキドキ怒気土器。10分くらいの席待ちの時間も、カウンターでお酒とおつまみが頂ける。私はちょっと食べただけ。これからの大料理を前にして、そんなもの頂けません!
 そこは日本語のメニューもあった。で、私は日本語とフランス語をぼちぼち見比べながら、何を頼んだらいいのか分からなくて(すっかり混乱!)お薦め料理を選ぶ。訊いてみたら、本日の料理は生ガキが前菜で、メインがカジキだとか。私ともう二人はそのお薦めを頼み、あとの二人は、二人で一つずつフォアグラとエスカルゴを頼んでいた。

 お酒は白ワインを頼んだ。なんだか知らないけど注文も全部私が言ったからか、私のグラスに試飲のワインが注がれたんで、作法をなるべく思い出して、色見て香り見てちょっと味見て「C'est bon(おいしい)」ってやったわ。初初ー けど、ほんとにおいしかったの。しあわせ
 カキは一人6つずつだって給仕さんが言ったのに、何故か3人で22個も来た。あれれ? 生ガキは、レモン汁もしくはビネガーをかけて食べるのだけど、レモンのほうがあっさりしていておいしかった。つるんと喉を滑っていく感じがとっても気持ちよく、おいしかった。

 隣の席のおじさんが、二人で一つのお皿をつついているのを横目で見て、何度も笑っていた。愉快なおじさんだ。
 そこ、料理は高いなりにおいしいんだけど、給仕がやたら慌ただしくいつでも走り回ってて落ち着かない。一人の人は、お皿を運ぶ前に何度もメモを見て復唱しに来るし。口の中で言ってよーっっ くつろがせてちょうだいぃぃぃっっ と何度も思った。

 食事が終わった頃、再びメニューが来てデザート選び。私が選んだ淡雪カスタードÎl Flottent とやらはむーっちゃくちゃ甘くて閉口した。だって、ただでさえ甘くされてるメレンゲに、カスタードソースがかかってるのよっ。おいしかったけど、あの甘さはパス・・・。隣のりんごタルトがどれほどおいしそうに見えたか・・・。

 レストランを出たあと、二人は疲れてホテルに帰ったが、あとの二人と私は、またメトロでコンコルドまで行った。
 オベリスクのてっぺんが、なんと光っていた! 昼間見たら、ただの金箔に見えるのに!
 観覧者の前は、いっぱい人が並んでいたけど、そこに並んだ。もうわくわくわくわく。どうも全員一度に乗せてボックスを埋めるのではなくて、3−5くらいのボックスずつにまず乗せて、1周してから3−5のボックスの中の人を入れ替えて回していくようだった。
 同じボックスには6人乗れて、1−2くらいのグループを一緒に乗せる。私たちは、40−50代くらいのおじさん・おばさん3人組と一緒だった。

 最初はゆっくり上がっていって、途中入れ替えのために停まる。夜のパリが綺麗に見える。この間会った熊本のご夫婦が凱旋門の上で見た景色っていうのも、こんなだったのかなーぁ。
 おじさんとおばさんが「あそこに見えるあれがね・・・」と解説してくれる。単語で分からないところは私が訳をしながら、静かなパリ、ネオンの綺麗な夜を観光した。昼間とは違って、ホントに静かだった。
 私たちは、観覧車がガタガタとまったり動いたりする度に歓声をあげ、ボックスの中は異様に盛り上がった。動き出すときには「Allez Allez!(さぁさぁ!)」って急かしたりしてね。
 あんまりはしゃいで楽しかったので、規定の3回りが終わって下りなきゃならなくなったとき、みんなで「え゙ーーっっ」ってブーイング。かわいいおじさんたちだった。
 十分満喫して、おじさんたちにもバイバイって言い、「ありがとねー」って、二人とも別れた。

 部屋に戻って、今朝会った同室の日本人としばらく会話した。「30日にここで待ち合わせしてるから高いけど移れないんだ」と言ったら、「91FFのユースホステルに一度移って、30日に戻ってきたらいいじゃない?」と言われたので、それはそうだとその気になる(っていか、気づかない私って、馬鹿?)。
 シャワーを浴びてたら12時を過ぎたので、サマータイムだから時計の針を進めて、13:30頃寝た。

 今日の豪華な食事尽くしは、熊本の4人の方が一緒でないとできなかったです。ちゃんとしたフランス料理が食べれてすごく感動した。よい一日だった。ありがとう!

 

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