南仏旅行の記録 モナコは面白い


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 ユースをチェックアウトし、15番のバスに乗ってバスターミナルまで行った。それから10:00のモナコ行きのバス(100番)に乗る。同日なら20FF(1FF=約18円)で往復できるのだ。電車が片道20FFだから、こっちの方がお得というわけ。

 10/40頃、モナコ着。本屋で葉書を見てから王宮の衛兵交替を見るべく、王宮のある丘まで坂道を上る。結構坂がきついんだよねぇ・・・。

パパノエル モナコのあちこちで見たサンタ(パパノエル)

サンタの腰の辺りにポストがあるのが分かる? あそこに子供たちが手紙を入れるのだ。

 モナコは植木も全て白いもので装飾されてて(しっかり付いてるから取れない)クリスマスを演出している。この上の写真みたいにね。けど、その白いやつ、手触りは発泡スチロール。でもスプレーで吹きかけたみたいな感じだ。これ、冬のシーズン終わったらどうやって処理するんだろうね・・・

 衛兵交替は11時から。続々と人が集まってくる。そして私は、写真を撮るのにどの場所がいいのか分からないまま、うろちょろを繰り返す。けど、まあうまく撮れたからいいや。

衛兵交替の図。

こっちは王宮じゃないよ。これからこの向かいにある王宮に向かうところ。
ドンドコドンドコ、やっぱりこの行進が必要なんだよねぇ。日本人からしたら妙な感じだ。

 重い荷物を背負ったまま、次はどこへ行こうかと王宮をはずれて歩き出す。今の季節、王宮は観光客に開放していないのだ。

 教会を見て、どこもあんまし変わらないなとか思いながら進むと、海洋博物館が見えてきた。30FF(約540円)、高い・・・。けどまあすることもないし、モナコは高くて当然、ということで入ることにした。切符売り場で「解説本は要らないか」と言われたけど50FFだよ? 要らない要らない。

 まず地下へと下ると、水族館が始まった。見かけは普通の水族館だ。タツノオトシゴが何種類か分かれて水槽に入っていた。かわいい・・・。
 オウム貝の横に小さい模型。時間が動くとオウム貝も動く。つまり、どういう時間帯、海のどの辺にいるかを表したもので、夜中に水面近くにいて、昼間は海底に沈んでるということを表すものだった。

 うーん、普通だ。そう思ってた矢先、妙なものが目に飛び込んできた。

 ・・・・・・

 いや、分かるよ。分かりますとも。けどさ、いくらクリスマスだからって、クリスマスモールなんか水槽に入れちゃって大丈夫なのー?? 魚がつついたりしても平気なのかしらー?

 モナコの水族館は変だった。ほんとに、日本の水族館がつまらなくなるくらいにはウケた。これを見ている関西人! もしモナコに行くなら、絶対海洋博物館に行かなくてはならない。関西人なら見ないでどうする! 思いっきし突っ込み入れて来ちゃってください。そのときは一人で行かないようにね。すんごく寂しくなるから・・・

 クリスマスモールだけでは飽きたらず、サンタもぶら下がっていた。イエス誕生シーンの陶器の人形も置かれていたが、なーんと主役のイエスが行方不明じゃないの! どこにいるのー? 思わず探してしまったわ(^^;; 結局見つからなかったけど、まさか食べちゃったわけじゃないでしょうね、アナタ・・・ (じっと魚を睨む私・・・)

 貝の水槽発見。どうもモナコの養殖を示しているらしく(なんでそんなもの?)、紐につながれた牡蛎とムール貝が、天井から大量にぶら下がっている。日本の水族館に慣れた人なら、きっとそれだけでも妙な光景だ。
 しかし、モナコの水族館の侮れないところはここからだ。・・・死んでる。貝に中身がないってことは、つまり死んでるってことよね? 中身のない貝の口がいくつか開いたままになってる。そういうのがいくつかある。
「なんだー?」
と思ってたら、そのうち二つの貝では、魚が頭を突っ込んで、必死に入ろうとしているではないの! ヤドカリじゃあるまいし・・・。しかも、頭がつっかえて入れないでやんの。頭突っ込んで・・・駄目、横から入ろうとして・・・駄目。お尻からは入れないらしく、何回も何回も白いからだをクネクネさせる。・・・・・・妙だ、妙な光景だ。この水槽のメインは養殖の貝の姿だった筈なのに・・・。脇役の魚が、オモロイ。

 他の水槽もなかなか。何が入ってんだか分からない。こいつがいまーすって表示は出てるのに、行方不明のやつ多し。バルーンフィッシュって何よ。

 ある水槽、両腕を広げたくらいの幅(2mなかったんじゃないの?)で、奥行きはちょっと不明だけど、まあそんなに広くなかった。なのに、海ヘビみたいなのがいっぱいいる。じーっと見てたら、うじゃうじゃ出てくる出てくる・・・。なんと15匹も一つの水槽の中にいた。一匹1mくらいあるじゃない。なのに、なんで??

 平たくて小さい水槽、上から見れるようになってて、最初は光るイソギンチャクとかを小さい熱帯魚とかと一緒に展示。へぇ、かわいー♪と思って見てたら、続きに現れた2つの水槽は灰色だった。
 ----はぁ??
 そう、その水槽、片方がヒラメで、片方がカレイだったのだ。そればっかりが何匹も、一つの平たい水槽を埋め尽くしている・・・。いや、そりゃ、カレイとかは平べったいからこういう展示の仕方もアリだけどさ、にしてもかわいそーなんじゃ・・・。いやね、後になったらかわいそうって思うけどさ、最初は笑うって。生真面目な顔して並んでんだもん。なによ、アナタ・・・。

 私は、連れに、大阪の海遊館って水族館の話をした。そこの大水槽の中に一匹の亀がいて、排水溝の近くがお気に入りなので、いつも大抵そこにいるのだけど、客から見たら、挟まってるようにしか見えないのだ。それで、水族館側は考えて、「挟まってません、お気に入りの場所なんです」ってコメントを書いたパネルをぶら下げている。
 その話をした後に、また奇妙な水槽が登場。
 魚は普通に泳いでいるのに、その真ん中にブラウン管を外したディスプレイがポンとひとつ置かれていた。んーで、その閉鎖されたディスプレイの中に、一匹、たった一匹の魚が。
 な、何事?! と思ったら、横にコメントの書いた紙が貼り付けてある。「コンピュータの中の魚は無事です」みたいなことが書いてあった。つまりは、その亀と同じく、それがお気に入りってことなのかしらね。神経質なのかしら。にしても、そのディスプレイの中、水草も何もないのよ? どうなってんだか。絶対つまらないと思うんだけど、アナタ、平気なの?

 まあ、水族館の話はこれくらいにしておこうかな。これ以外もすっごく妙だったのよ。ウケること請け合い。笑いに飢えたら行ってみて頂戴な。

 で、水族館のコーナーを終えて、海洋博物館だから別のコーナーもちゃんとあるので行ってみた。ホルマリン漬けの魚の展示とか、螺鈿や珊瑚といった海のアクセサリーとか、そういう細工物が展示してあった。中にはヘブライ語やアラビア語の書かれた貝とか、何でここにあるのか謎な古いコインの数々とか、そういうものまであった。
 一番妙だなと思ったのは、頭のついたままの海鳥の襟巻き。オコジョとかなら まだかわいげもあるけど、くちばし付いてんだよ?(そういう問題じゃない?)

世界最初の潜水艦のモデル

いやさ、みんながここで記念撮影するから、やっぱ撮らねば!と。ちょっと恥ずかしかったけどねぇ...

 30FFを十分に楽しんだ我々は、郵便局を探し当てて切手を買い葉書を出す。記念切手をちゃんとgetした。ふふふ。

 結局お昼ご飯は食べなかったので、非常食のお菓子をつまむ。

お菓子つまみながら見てた光景

親子らしき一組がそれぞれ紙袋片手にやってきて、ベンチに座ったかと思ったら、こうやってクリスマスの装いに変身してしまった。このあと嬉しそうに去っていったのだけど、どこへ行くんだろうなぁ。

 ユースホステルへ泊まろうと思ってたんだけど(単に泊まってみたかっただけ。開いてなかったらニースへ帰るつもりだった)、ニースのユースが5時くらいからしか開いてなかったものだから、モナコもそうだろうと勝手に思っていて、ずーっと荷物を背負いっぱなしだったのだ。

 でもすることもなくなったので、ユース向けて歩いてみることにした。ユースは駅の近くにあることになっていたので、駅の方に歩いていき、駅を過ぎて高架を渡る。真下に線路が見えて・・・・あれぇ? 線路の反対側に何やら「入り口」があるぞ。
 そう、そこの線路は片側が岩壁になっていたのだけど、その岩壁にはめ込まれたように建物の入り口がある。なんだ、なんだ? これは行かねばなるまい。

 それで、駅まで戻り、駅に入ろうと扉を押してみた。・・・開かない。他の扉も全て開かない。なにぃ? 中を見てみると、どこもかしこも閉まってて、休みですーって感じ。っていうか、寂れてる。
 他に入り口はないものかと見渡したら、駅舎の横に、「駅こっち」っていう立て札を見つけた。辿っていくと、、、、線路だった。はいぃぃ?
 普通線路に入れないように仕切ってあるのに、それがなくて、カンタンに線路に入れるのだ。ところが、その線路、コンクリートで埋められていた。
 つまり、ここは使われなくなった旧駅舎だったわけだ。例の駅舎へ通じる道は封鎖されていたが、反対側のホームに渡るのに使っていた地下通路は残っていた。なーんかへんな気分。で、問題の岩壁の入り口へは、線路の上に板で作った即席の橋が渡されていた。ちゃあんと、「モナコ・モンテカルロ駅」って書いてあった。

これが旧駅から新駅へ向かう通路(!)の入り口

1999年11月26日まで旧駅を使ってたらしいから、この板の橋も新しいのだ。
もっと左手の方は、線路がコンクリートで埋められてる。

 もちろん、せっかくなんで入りましたって。真新しい建物。ぴかぴかの通路、ぴかぴかの文字。中は・・・・まーっすぐ、ひたすらに真っ直ぐな通路だった。どこまで続くのやらさっぱり分からない通路。こんなんアリ?!
 いくつかムービングロードを乗り換え、やーっと着いたプラットホーム。けど、そこにはカード対応の例の切符販売機があるだけで、窓口はなかった。つまり、まだ奥まで歩けと言うことね・・・。

 そういうのは無視することにして、今度はムービングロードを歩かずに乗ったまま、時間を計ってみた。約5分。入り口からホームまで5分! な、なんてことだ!

 我々は疲れ切ってしまった。いやはや、モナコって国は謎の多いところだ。

モナコの「モンテカルロ駅」

モナコの駅はやたら明るい。フランスの地下の駅、もっと暗かったよ。
プラットホームがやけに長いのは、入り口が各方面にあるから。私は別々の入り口から両端を見た。

 ユースはまだ開いてないよなぁ・・と思いながら町をぶらぶら歩いていると、通りすがりの車からお姉ちゃんが顔を出して「ユースを探してるの?」と英語で話しかけてきた。そう、フランスの人は(ここはモナコだけど)こっちが訊かなくても先回りして教えてくれるのだ。けどもこのときは別にユースを探してるわけじゃなかったので「いいえ」と答えた。けどもお姉ちゃんは「そう。でも、Downstairだからね」と言いおいて去っていった。
 下だってことが分かったから、じゃあ安心して上へ上がってみますか。くるっと坂を回って上ると、さっきのお姉ちゃんの車発見。会釈しながらその先の階段を上ると、途中のドアに「ユース」♪って書いてあった。お、おねえちゃん、downじゃなくてupだよぉ。
 けど、よくよく営業時間を見てみたら、一日中開いてるじゃないか。なーんか損した気分。まあとりあえず入ることにした。

 プレハブ造りのユースは、さすが出来立てって感じがした。私の持ってる96年度版ガイドブックには載ってなかったからね。
 でも小綺麗な感じ。受付で「部屋開いてますか」って訊いたら、「もちろん」って言われた。「部屋は一緒でいいかしら」と、お姉さんが当たり前の口調で処理しようとしたから、「い、いいえ」と言ったら、びっくりした口調で返されてこっちが驚いた。「え? 違うの? 別々でいいのね」「はい、お願いします」。
 「じゃあ、これが説明ね。分かる?」って出された紙は、しっかり日本語で印刷されていた。一体誰がプリントしたんだ。手書きじゃないぞ。お姉さんは一つ一つ慣れた手つきでペン先を使って指し示しながら、禁止項目や利用の仕方を説明した。

 部屋は綺麗だった。しかもあったかかった。ニースのユースよりいいんじゃないの?と、ちょっと思う。

 私たち貧乏旅行者にカジノは関係ないけど、外観だけでも見に行こう!ということになり、受付でもらった地図を広げてみた。
 そこには、さっき行った旧駅と新駅の場所も載っていた。その距離はなんと、モナコの全国土の幅のおよそ4分の1だったのだ! さすがは世界で2番目に小さい国、やってくれる。まさかそれほどとは。
 カジノまでは、その二つの駅間の距離の2倍以下しかなかったので、歩いていくことにした。地図なんかなくても、歩いていけばたどり着くでしょ。

 カジノ目指して歩いている間に、また別の駅舎を発見。これは入らないでどうする。ということで、また入る。今度はエスカレーターを一回降りて、またエレベーターを使ったところにあった。坂が多いから、こういうことになるのね。
 で、そこにはちゃんと切符売りの窓口があり、ホームもエスカレーターを降りたらすぐそこだった。ホームを移動するための橋があって、それを渡って反対側に行くと、もう一つの出入り口が見えた。こうなったら制覇! ってわけで、今度はそこから出る。おいおい、カジノはどうなった??

 出口を出ると、ひたすら下り坂が続いている。坂を下りきると、そこに標識が二つあって「歩きで駅へ行くにはこっち」「エレベーターはこっち」って書いてあった。
 まあ、駅はともかく、モナコはやたらとエレベーターが多い。ちょっとした坂にもエレベーターがついてる。やっぱ儲けてるんだろうかなぁ、と思わせるには十分だ。なのにユースでもらった日本語版ガイドには「カジノで稼いでる訳じゃありません」とか書いてあるんだよね。

 華やかなカジノの外観だけ見て(だって入場料もいるし、立派な恰好してるわけじゃないし)、「カジノ広場」の綺麗な噴水と光を見て堪能し(?)、あとはレストラン探しながら帰ることにした。・・・ほんっとに歩くくらいしかしない旅行だな。(写真は勘弁して。撮ったけど、いまいち綺麗じゃないから)

これ、銀行なのよ

むちゃくちゃ豪華なの。どこに受付があるのか分からないよね。入ったら真ん前に綺麗な階段が、つら〜〜。こんなとこ、入れないよぉ。

 でもせっかくだから、クリスマスグッズを見る!とか私が言い、ちょこちょことショッピングモールに顔を出す。そのうちに大きな本屋を発見してしまった。
 や〜〜ん。広いわ広いわー。私は浮かれて、目的の「フランス語の音声」ってテキストを探す。それとついでに、テュニジアの大統領を批判したという書物「我々の友・ベン=アリ」も。ベンちゃん本はあっさり見つかったが、仏語の方はない。で、子供用の辞書も見つけてしまったので、ベンちゃん本は今度買うことにして、辞書を購入。・・・これで重くなった。
 そのあと、漫画のコーナー発見。しばらくそのコーナーで、どれを買おうかなーと、連れと二人でしゃがみ込む羽目になった。だっていっぱいあるんだもん。テュニジア、少ないんだもん。

 気が付けば「何時ー?」という時間になっていた。レストラン閉まってしまいやしないか?
 我々はユースの近くまで行って、レストランを物色したが、迷ってる間に目的と定めた店に目の前で閉められてしまった。ピザ食べたかったのにぃぃ。
 それで、迷ってる暇はなし!と判断して次の店に入ってしまった。50FFもしたのに量がちょっとしかなくて、これならニースのユースで晩御飯食べた方が絶対得だよーと思ってしまった。だって、ニースのユースも50FFなんだよ。二人して満足できず、ぶうぶうと文句をたれる。

「ミラノまで行ってピザ食べてこようかな」

 私はそんなことまで言いだしてしまった。
 連れの方は全く問題がないのだ。次の目的地がイタリアだから。けどねぇ、私は27日のマルセイユ発に乗らねばならないのだ。しかもクリスマスがあるでしょ、どこも見れないから移動できないとして・・・。結局ユースに帰って色々検討した結果、やめといた方が無難、という結論に達した。
 だけどさ、モナコまで来たら、もうイタリアなんてすぐそこ、目と鼻の先なんだよ。なんで、もう少し遅くにチケット取らなかったかな。こんなに安くつくと思ってなかったから、予算的に1週間くらいが限度だと思ったんだけどさ。なんかすっごく後悔。ああ、イタリア。ピザもジェラートも、食べたかったなぁ・・・。

 そして、ついでに明日の目的地決定。モナコからイタリア寄りのフランスの町・マントンへ。今の季節は何にもないけど、どうせここからじゃ移動できないしね。
 いや、明日マルセイユまで帰るという意見もあったんだけど、そうしたら彼はそのままイタリアかまたニース。マルセイユまで戻ったってクリスマスにユースなどが開いてるかどうか自信もなかったし、どこも開いてない時に一人でいるのもつまんなかったので、結局この辺を二人で移動することにしたのだ。

 そろそろいいかなーと思って、シャワー浴びてみた。でもまだ、むっちゃくちゃ浸みた。やっぱ顔だけじゃなくて、肩とかから肌荒れが広がっている・・・。おそろしぃ。
 まあ、洗濯物は気持ちよく乾いてるから、乾燥してるというのはよく分かるけどね・・・

 それに、この日ぐらいから私は右手首を痛めたのだった。この日ずっと荷物を担いでいたから? 右手一本でで重い荷物を背負うから? なんにせよ、いやぁね。

 

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